学問・資格

2013年1月30日 (水)

ブログ再開

日本で仕事していたときにお世話になった恩師の後押しもあり、1年と2ヶ月ぶりにブログを再開することにした。休眠中あったこと:

  • 学部生として最終学期となる2学期は超忙しかったが、自分でも驚くほど良い成績で締めくくることができた。
  • 企業がスポンサーとなった卒業研究は、様々な問題点、課題があったものの、通期、実働期間としては3-9月の7ヶ月間のプロジェクトをやり抜き、成果として、試作品およびレポートを完成することができた。(レポートは希望により開示可)
  • 学部の勉強を終えた翌月の12月半ばからオークランドCBDにある医用機器の製造業でProductionの仕事をスタートする。
  • 翌年2月に、この会社と前年、前々年の夏休みにインターンとして働いた併せて2社での就業レポートを大学へ提出、卒業要件である専門に関連した就業経験計800時間を正式に認定された。
  • 年2回ある卒業式のうち5月のはレポート提出の関係で逃したものの、当地で桜咲く10月の卒業式に無事出席、長かった四年間の勉強の末、工学士 Bachelor of Engineering - Honours の学位、資格を手にした。
  • 明けて2013年、就業1年を越えたいまの会社は色んな意味で限界があるため、転職活動を本格化しており、設計者を目指して、引き続き活動している。

専門分野のスキルと経験を欠く大学新卒の就職難は世界的な傾向であるし、日本でもニュージーランドでも雇用環境の厳しさは大きく変わらないと思う。当地の失業率は昨年10-12月期で7.3%、それまでの過去2年間より失業率が悪化しているため、現時点において、若者の失業率は2割を越えていると思われる。設計の仕事に就くのは難しいが、こうした中で、電子機器の製造に関係する仕事を通じて、少なからず経験が積めるのは、ありがたいこと。英語が母国語でない環境ならなおさらである。前向きに、できることを一つひとつ着実に積み上げていかないと。

2011年3月 5日 (土)

新学期

新学期がいよいよ始まった。大学四年目の一学期は2/28から6/27まで、履修する科目は以下の四科目。

1研究課題A                   (ELECTENG401A)
2電力系                        (ELECTENG411)
3制御系                        (ELECTENG422)
4パワーエレクトロニクス   (ELECTENG414)

1の研究課題は、一学期がA、二学期がBとなっており、A、Bの二科目を続けて履修することで通年で一つの研究課題に取り組む。私の研究は、主にパワーエレクトロニクスを用いたコンプレッサの力率改善がテーマ。

4のパワーエレクトロニクスは、IPTという非接触でかなり大きな電力を送電する技術とDCコンバータについて主に学ぶ。この大学は、IPTの先端研究で世界に知られている。IPTを利用すると、例えば、電気自動車が充電スタンドに入った時に、プラグを差し込まずとも、非接触で、充電するといったことが可能になる。原理は、電動ハブラシや接点のないケータイの充電器と一緒だが、より大きな電力を送電できる技術の実用化が進んでいる。

授業の構成は、半分が講義、半分がプロジェクト。プロジェクトは、田宮模型のRCカーを改造してIPTのサーキットを走らせるというもの。二人一組でIPTの回路とDCコンバータの回路を製作し、それら回路をRCカーに組み込んで最終的なデモを行う。デモはRCカーを実際に全長15mほどのサーキットで走らせスピードを競う。優勝者にはNZ$200のおまけもつく。私が入学して以来、毎年6月に学内でこのレースが行われており、当初は、「いい学生がRCカーレースなんぞに熱中して」と冷ややかに見ていた時もあったが、いざ当事者になってみると、学生たちがいかに大きな課題に取り組んでいたか分かる。大変だが、とても楽しみにしている科目である。

2010年7月20日 (火)

2学期スタート

今週から二学期が始まった(レクチャーは7/19-10/23の14週間、期末試験は10/25-11/15の3週間、計17週間=約4ヶ月)。

履修科目は

Electeng303 Systems and Control(制御系)

Electeng305 Electronics 2(エレクトロニクス2)

Electeng309 Power Appratus and Systems(電力システム)

Electeng311 Electric Design 2(電気設計2)

の四科目で、すべて電気電子系の専門科目。

四年間で最も大変な学期ということだが、電力システムはこの分野で初めての専門科目なので楽しみであるし、電気設計2はF&P Appliancesがスポンサーとなりアナログ・デジタル回路・プログラミングを含むかなり本格的で包括的な設計のプロジェクトに14週間の長期に渡って取り組むことになるのでこちらも期待している。

2010年7月16日 (金)

test box

卒業までに計800時間のpractical work要件を満たすべく、この2週間はフルタイムで仕事、おかげでさらに80時間を稼ぐことができた。

うれしかったのは、学期休みが終わるきょうまでの4日間、test boxの設計から製作までを一から任せてもらえたことだ。

このtest boxは三相交流電源用の位相検知器(phase detector)で、三つの位相がきちんと存在し正しく接続されていることをランプの点灯で知らせる装置。三相モーターへ電源を供給する装置がきちんと接続されているか否かを、このtest boxを使うことで簡単に判別できるようにするというもの。

各位相がきちんと接続されている場合には全てのランプを点灯させ、またいずれかがつながっていなかったり二つの位相が一まとめに誤接続されている場合、ランプを消灯させて異常を伝えるという回路を、YーΔ結線で設計した。YーΔ結線は理論として学んでおり、応用は初めてだったのでワクワクした。

設計は、電話帳以上にボリュームあるサプライヤーの電子部品カタログをめくって表示用のランプを選定することから始まり、
YーΔ結線の抵抗と各抵抗の消費電力の算定、その他多数の部品・部材の選定、加工、組み立てを行った。採用したネオンランプの動作原理、それに最終的にリレーを組み込むことになったのでその応用例なども学ぶことができ、大学のクラスで行う設計ではない初めてのpracticalな設計プロセスをとても楽しめた。

この会社でpractical workをするようになって半年。仕事内容は主に電気フィルター付きケーブルの作製とマイクロコントローラのファームウェアの書き換えが主であったが、今回、初めて設計関連の仕事を与えられたこと、そしてその組み立てに当たっては、ハンダ付けや部材加工などこれまで時間をかけて習得したスキルが大いに役立った。組み立てに失敗することを全く考える必要がないくらい自分の腕に自信があったこと、今回のプロジェクトを通じてそのことを改めて自覚できたことは、何よりうれしいことだった。

1preparation

2solderstationandheatgun

3heatshrink

4connection
 

5testbox

6outdoorunitconnected

7threephase

8testboxlit

2010年6月 5日 (土)

レギュレータ

本日をもって1学期の講義が終了した。忙しかったこの学期を振り返ると、アナログ回路設計のプロジェクトに最も時間と労力を割き、その結果、多くのことを学び得た(まだまだ学ぶべきことは山ほどあるが)。

設計したアナログ回路は、レギュレータ。レギュレータは出力電圧を一定に保つ回路で、いかなる電子回路にもこれが組み込まれているといっても過言でないくらい、ありふれたエレクトロニクスの基幹部品である。レギュレータにはリニアレギュレータとスイッチングレギュレータがあり、われわれは前者を設計した。

普通はICになった廉価でコンパクトで信頼性の高いレギュレータをを使用するのが当たり前だが、レギュレータのフィードバック回路はアナログ回路の理論を学ぶ上で最適な教材であることから、本学では「設計(デザイン)」について本格的に勉強するようになる3年次の始めに、非ICのレギュレータをいちから学生に設計させるのがならわしとなっている。

プロジェクト期間は6週間。4人編成のチームとなり、提示されたコンセプトデザインの理解に始まって、周辺技術のリサーチ、シミュレーション、PCB設計、データシート作成、そして最終的なデモンストレーションまで、「回路設計者」として一連のプロセスを経験させる仕組みになっており、大変であるがとても楽しめた。

興味のある方はデータシートを参照下さい
「our_datasheet_edit_5.pdf」をダウンロード

われわれの設計は、Quiescent current(零入力電流)の大きさから、お世辞にも褒められたデザインとは言えないのだが、重要なのは、広大無辺なエレクトロニクスの世界の一端を垣間見、未経験、手探りの試行錯誤から最終的に何を学び得たか、さらにこのことを次の学習にどうつないでいけるかということに尽きる。チームワークの尊さ、難しさも併せて味わった。設計自体は、デザイン提出後に、Sizklai Pair(http://en.wikipedia.org/wiki/Sziklai_pair)という、高感度なフィードバック回路を組み込んだので、最終的には大幅に性能アップした。

Picture1_2

2010年3月20日 (土)

3rd year

今月から大学の三年目が始まった。

1学期は6月4日までの約13週間、履修する科目は、電気設計、数学、伝送線路、管理理論の4つ。

http://web.ece.auckland.ac.nz/Jahia/site/ece/lang/en/pid/95

http://web.ece.auckland.ac.nz/Jahia/site/ece/lang/en/pid/93

http://www.esc.auckland.ac.nz/courses/engsci-313-mathematical-modelling-3ece

http://www.flexiblelearning.auckland.a.nz/enggen303/

Practical Workをさせてもらった会社で継続して仕事させてもらえることになったので本業に差し障りない週1回のアルバイトを続けていく。

2010年2月 6日 (土)

無事卒業できれば、、、

パーマストンノースに住む嫁さんのお父さんから新聞記事のスクラップが届いた。内容は「エンジニア不足が公共事業を直撃する」というものである。

ニュージーランドのエンジニア不足は、昨年10-12月期の失業率が7.3%に達したとメディアが大騒ぎしている現在でも深刻のようで、記事によれば、通常ニュージーランドの経済は毎年2,000人の新たなエンジニアを必要としている一方で、大学を新たに卒業する新卒の"エンジニア"の数は毎年1500人に過ぎず(Institution of Professional Engineers)、プロジェクトを統括するマネージャーは人材確保のため、オーストラリアなどの海外で人材募集の対策を講じているという。2000人という数は全ての専門領域を含めた数だが、細かい内訳は記事に書いていない。

とりわけ経済・雇用対策絡みの公共事業が増える中で大型プロジェクトに必要なエンジニアの確保が課題とだという。大型プロジェクトの案件は、首都ウェリントン圏のバイパス道建設、オークランドエリアでは鉄道の電化事業などが例として挙げられる。

30歳を過ぎてエンジニアリングの勉強を選んだことが正しかったかどうか、折り返し点を過ぎた今でも確信が持てずにいるが、そうした時々不安になる気持ちを察して、自分の選択が正しい道であることを肯定しつつ、勇気付けてくれる義父の気遣いに感謝する。

計画通りいけば卒業まであと2年。記事が正しければ、卒業できさえすれば、需要が供給を上回る「売り手市場」で職探しは困難ではないはずである。まあ、所詮は新聞記事なので、眉につばをつけて読んでおこう。

Photo_3

 

2009年12月23日 (水)

Practical work

夏休みに入ってから6週間近くエンジニア系の仕事を探してきたが、このほど業務用空調機器のメーカーでElectronics Assistantという肩書きで仕事が決まった。苦労した分、とてもうれしいし、とりあえず仕事が決まったので、気分よくクリスマスと正月休みが迎えられそうである。

エンジニア系の学生は例外なく合計800時間のpractical work(企業や研究機関での実習を指す)を卒業までに完了しなければならず、とくに2年次、3年次の学生は必然的に夏休みを返上して実習をすることになる。

大変な点は、実習先をどう探すか、大学側は多少のアドバイスはくれても、直接的な世話は一切してくれないこと。見込み先企業のリストアップ、CV、カバーレター作りに始まって、電話や訪問でのアプローチ、その次のステップなど、一からすべてやって、自分の希望する企業などでポジションを見つけなければならない。

勿論これは大変な作業だが、良い点は、1年後、2年後にいずれやってくる就職活動に、前倒しで取り組める点。さらに、実習で得た経験を通じて、自分がどんな分野を掘り下げて将来につながる勉強をしていきたいか早い段階で実社会から具体的なアイデアが得られるメリットもある。

この仕事を見つける前に、短期間、電気工事士のもとで230Vの宅内配線や照明器具の据付などの仕事をしたが、これは結局うまくいかず、残念ながら諦めざるを終えなかった。

短期間ながらこの仕事で得た経験は次の仕事を見つけるのに役立った。とくに法規関連。ニュージーランドには各業界に遵守すべきStandardsがあり、当然、電気関連の従事者が知っておくべきStandardsがいくつかある。意外にも大学では教えれくれないことであり、もしくはpractical workを通じて自ら学ぶように意図されているのか、いずれにしても、電気関連の従事者として当然知っておくべき知識を始め、職務を遂行する上で自分に何ができて何が欠けているのか、欠けたところばかりなのでどうすればこれから補なっていけるのかなど、実際に自分で動くことで、得られたものは大きかった。

Cold calling(アポなしの電話)は100件以上したし、CVも応募先に合わせて練り直した。最終的にできたカバーレターとCVは6週間の就職活動と就業経験で得た情報を反映して、完成度を高めたものであり、その結果、次の仕事につながったと思えるのは、やってきたことが無駄ではなかった証拠であり、そこに確かな手ごたえを感じたのだった。

EEE(Electrical and Electronic Engineering)の学生に課される実習の規定は以下の通り。ジェネラルとサブプロフェッショナルの2つの要件を満たす必要がある。


General Engineering (a minimum of 200 hours) work associated with skilled tradesmen, that is use of hand tools and machine tools associated with the fabrication, manufacture, and / or maintenance of electrical instruments, components, or equipment.

Sub-professional Engineering (a minimum of 200 hours) work associated with professional engineerings, that is installation of lines, trunking systems, switchboards and machines; design, fabrication and testing of electrical components; electrical draughting, computing; application of wiring regulations and electrical safety. [1]

1 Faculty of Engineering Undergraduate Handbook, 2008, page 86

2009年11月19日 (木)

折り返し点

今週で大学の2学期の日程が全て終了、来年3月に3年目が始まるまで3ヶ月半の夏休みに入った。

2学期を振り返ると、一番キツかったけど多くのことを学んだと思えるのが13週間かけてFMトランスミッターをデザインしたElecteng209アナログ・デジタル回路設計。

完成した回路はこちら

Fmtransmitter1

概要を記すと、まず左下のミニジャックから入った音声信号が、赤い大きなコイルのある発振回路を通って約30MHzのFM波に変調。その右のトランジスタと一番小さな赤いコイルのあるLCタンクによって約90MHzの3rdハーモニクスのみが増幅される。最後に一番右の径の小さいコイルのあるパイマッチング回路により、50Ωのアンテナから最大出力の電波を空中に発信する仕組みになっている。

設計の第一ステップはシミュレーターとエクセルを使って最適な数値を算出すること。デジタル設計はFPGAのデザインソフトを使って好みの曲を論理回路に変換するところまでが第一段階。選曲は映画「未知との遭遇」にした。

第二ステップはブレッドボード上に回路を再現して実際にパーツを抜き差しながら設計した。コイルは自作しなければならず、思うような数値が得られず苦労した。発振回路はコイルとコンデンサの数値の組み合わせで周波数が決まってくるし、コイルはデリケートなので巻き方によって得られる数値も千差万別になるからだ。このあたりでシミュレータは必要不可欠だが、あくまでも机上の理論であることを痛感することになる。試行錯誤を繰り返しながらなんとか形になったのは、チームを組んだマレーシアからの国費留学生Najによるところが大きい。彼は電子系のプロジェクトの経験があったので無数にある道筋から適切な道順を選んで、時間との戦いでもあるプロジェクトを実質的にリードしてくれた。

最終の第三段階はPCB上で回路を組み上げていく。PCBはデザインソフトで完成されたデータを大学の製作部門に送って加工してもらう。昔は穴あけを自分でやっていたが企業などで作業をする場合もデザインソフトを使うケースが多い関係でいまはそのようになっている。できあがったPCBボードにパーツを一つひとつハンダ付けして最終的に写真のようなかたちにした。

Fmtransmitter2

Fmtransmitter3

上は実験用に製作した秋月電子製キット

Fmtransmitter4_2

2009年8月14日 (金)

Field trip

IEEE大学支部主催のfield trip(実地研修)で、キウイフルーツやオレンジなどの仕分けマシンを開発しているCompac Sorting Equipment http://www.compacsort.com/ という会社を見学する機会を得た。

Compac1

果物のハンドリングに特化しているOnehungaベースのこの会社、国内はキウイフルーツのゼスプリ、北米はオレンジのサンキストが主要取引先とのことで、ユニークな技術で独占的な市場シェアをキープしているニッチトップ企業である。

われわれが見学したのは開発部門。写真はテニスボールを果物代わりに繰り返し性能試験をしている現場の様子。

仕分けマシンという言葉から想像できないほどインテリジェントなシステムであることに驚いた。ものすごい速度でダーっと流れていく果物を読み取り部分にある3台のカメラが上、左、右から毎秒10枚を超えるシャッター速度でバシバシとテニスボールの表面を撮影していく。テニスボールにはマジックの汚れや傷がつけてある。当然これは果物の表皮についた傷や虫食いなどを再現したもので、これらの情報をセンサーで識別しながら、圧倒的なスピードで選り分けていくのだ。

この光学検知システムの処理速度がケタ違いに速い。しかも精度が高い(誤差が0.2%以下)点がマシンの大きなセールスポイントであり、国内のキウイフルーツ向けは「市場シェア100%」と担当者は胸を張っていた。

メカニカルなデザインについても、コンベアを流れる果物を支える「カップ」という特許デザインを開発している。ひとたびカップに収まった果物は、そのままの姿勢でスキャン、軽量(密度測定)、選り分けのステージを経ていくので、無駄な動作が生じることがないそうだ。

現地では、開発をリードする若い担当者が、設計・開発・試作から製造、サポートに至るまで業務の流れを細かく説明してくれ、企業の全体像がかなり見えた感じがしてよかった。専業化と分業化が進む エンジニアの仕事は、チームワークとコミュニケーションの大切さがしばしば強調される。今回の訪問では、設計段階において、メカニカル、ソフトウェア、エ レクトロニクスの技術系スタッフがアイデアをすり合わせしながら試行錯誤を繰り返している様子が見て取れた。参加者も、電気系、メカトロ系、ソフト系の学生とあって、日頃学んでいることがどのように応用されているか具体例を目の当たりにする、非常に有意義な体験であった。

Compac3

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